該非判定を自力で行う

該非判定書は製造者が作るもの。 通関士ですらそう考えている方が多く見受けられます。 が、法上該非判定をすべき者は輸出者です。 では、輸出者自身が該非判定書を作成するにはどうすればよいのでしょうか? 要点を説明します。

まず、該非判定の書式を入手しましょう。  書式といっても法令で決められているわけではありませんので、 必要な事項が記載されていればかまいません。 しかし、「記載事項として何が必要か?」 という問いに明確に答えられなければ書式を作ることすらできません。  ちょっとお金はかかります(8,250円+送料:2017/04現在)が、 CISTECという団体が発行している「項目別対比表」をお勧めします。  一冊で全ての貨物を網羅しており、必要なページをコピーして使うようになっています。  ほぼ2年ごとに改版されますので、最新版を使用してください。

CISTEC連絡先:03-3593-1147(出版物窓口)

次に、項目別対比表の目次をじっくりと眺めて、 輸出したい貨物がどの物品にあたるかを確かめます。 ここで注意すべきことが二つあります。 一つ目は、用語です。輸出管理法令には、 ベアリングではなく軸受、ステッパ・スキャナではなく露光装置、 レーザー兵器ではなく指向性エネルギー兵器と記載されています。 当業者が普段使っている用語と異なることがあり、また、 用語は同一でもその言葉の定義が異なっている場合もあります。 各セクションの末尾に用語集が付属しているので、 これを参考にして注意深く探してください。 二つ目は、該当する項目が一つとは限らないということです。 目次を眺めて、該当する物品を見つけて安心してはいけません。 (たとえば、工作機械は2項と6項の2箇所で規定されています。) 目次を最後までみて、該当しそうな項目を全て抽出しましょう。

物品が特定できれば、項目別対比表の当該ページを使用して該非判定を進めます。 チェックすべき仕様項目は対比表に記載されていますので、 その貨物を普段扱っている方ならフォームを埋めていくのに困難はないと思います。

ここで忘れがちなのが、「役務についての判定」です。 「役務」というあまり聞きなれない言葉がでてきました。 今、金銭トラブルを抱えたAさんが弁護士であるBさんに解決を依頼したとします。 Bさんはまず事実関係を明確にし、その事実関係と法令に基づいて Aさんとその相手が納得できる解決策を提案し、最終的に両者を合意に導き、 何らかの合意書面を作成して、報酬を受けます。 この報酬は一見すると作成された合意書面に対するもののように思われますが、 実は、「合意に導いた苦労」への対価なのです。 このように、 「姿・形はないけれども価値のあるもの」が存在し、 そうしたものを総称して役務と呼びます。 土木工事、加工、修繕、清掃、クリ-ニング、運送、通信、保管、印刷、広告、 仲介、興行、宿泊、飲食、技術援助、情報の提供、便益、出演、著述など、 役務の幅はとても広いのですが、貿易管理の観点では、 技術援助や情報の提供が問題となります。
  「今は貨物の輸出の話をしている。そんなの関係ないでしょ!!」とはなりません。 最近の機械は、その機械の特性とその機械を操作するプログラムとが相乗して 機能を実現していることが多くなっています。そのため、比較的最近の法令改正で、 「使用のためのプログラム」が規制対象になりました。 したがって、輸出物品にプログラムが組み込まれている場合は、 使用のためのプログラムの観点からも該非判定することを忘れないようにしてください。

最後が表紙の作成です。 たかが表紙ですが、これがもっとも重要となります。 輸出者が該非判定し、結果が「該当」であれば誰も疑いませんが、逆ならどうでしょう?  税関は不正輸出を防止する最後の関所ですから、 輸出者自身がした「非該当」判定はまず疑いの目をもって見られます。そこで、
    ・輸出しようとする貨物の説明
    ・その貨物が法令のどの条項によって規制されるか?
    ・該非判断の要旨
を記載した表紙を追加することで、信用力がアップします。

  以上、該非判定書を作成する場合の留意点を記しました。お役に立つことを期待します。

柚木行政書士事務所
isamu@yunoki-office.biz